横山秀夫の作品群 [本(ミステリー)]
この人の小説を呼んだとき、分野はまったく違いますが、テレビで『鬼平犯科帳』をはじめて観た際の衝撃を思い出しました。何れも共通点は、これまでのそのジャンルの常識を打ち破ったこと。
『鬼平犯科帳』は、悪役である盗賊が実に丹念に描かれており、単に勧善懲悪であった『水戸黄門』に代表される時代劇にない新しさを見せてくれました。
ボクは、日本の警察小説の歴史を考えたとき、横山秀夫以前と以後に分かれるのではないかとまで思っています。それほどに新しいです。
それまでの警察小説は、刑事を主役とした犯人探し(フーダニット)がメインでしたが、横山秀夫はそれだけでなく警察内部の人々を生き生きと活写して見せてくれました。だから主役が所属する部署は警務課であったり鑑識であったり生活安全課であったりします。
彼の代表作が映画にもなった『半落ち』であることは言うを待たないでしょう。もちろんボクは『半落ち』も読んでいますが、それより今回紹介する短編集の方がおもしろかったように思います。
まあ、新しいといってもデビュー作の『陰の季節』が1998年ですから、もう13年も経つのですがね。
『陰の季節』 裏表紙 『動機』 裏表紙
『顔 FACE』 裏表紙
『第三の時効』 裏表紙
どれがお薦めかといわれるとちょっと困りますが、答えは「どれも」でしょうか。
すべて短編集(中には中編も)ですので、わりと気楽に読めます。通勤のときに読むにはちょうどいいサイズじゃないかな? ボクも基本は通勤電車で読むのですが、1日の往復でちょうど1編が読み終わる感じです。実は『ジウ』全3巻の後、この4冊を改めて読み返していました。
『顔 FACE』は、ここにも挙げた『陰の季節』の中の一編、「黒い線」に脇役として出てきた平野瑞穂巡査が今度は主役として活躍する話です。ドラマ化されたときは、仲間由紀恵さんが演じていました。早い話、男社会の中で苦労する婦警さんを描いた短編集なのですが、終わり方-エピローグ-が実によろしい すごく前向きで爽やかな気分になることができ、思わずこの親父さんと同じ気分にさせてくれます。
さて先日、思えば何年も待ち望んでいたシリーズの最新刊がようやく発行されましたので、間髪をいれず購入しました。次はそれを読みます。ページを捲る指が震えそうな、そんな予感が今からしています。
(ちょっと大袈裟?^^)
★★★★☆
ヒロさん おはよう(^-^)
先日のメールでのお薦めの作家の一人だね(^.^)b
水曜日に図書館で借りて来たのが、これもヒロさんのお薦め通りに古い作品からに沿って、真保裕一氏の取引と震源、垣根涼介氏の午前三時のルースター、そして横山秀夫氏の陰の季節!
取引を読み終わって次は?と思っていたので陰の季節にしてみますo(^-^)o
by 横G (2011-10-30 10:23)
横G兄さん
おはようございます。「午前3時のルースター」はサントリーミステリー大賞受賞作で、テレビ化されたときの主役は高橋克典でした。それと生田ナントカ言うジャニーズの俳優のデビュー作ではなかったかな?
まあ、挙げられた3人の作品を読んでいると軽く数ヶ月は持つと思いますよ。
by ヒロ (2011-10-30 11:24)