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『ガリレオの苦悩』 東野圭吾著 [本(ミステリー)]

ボクの大好きなガリレオシリーズの新作が文庫となってようやく出ました。直木賞を受賞した傑『容疑者Χの献身』以来、約3年ぶり。ホントに待ち望んでいた新作です[グッド(上向き矢印)]ガリレオの苦悩_表.jpgガリレオの苦悩_裏.jpg

まず読み始めて「おっ[ひらめき]」と思ったこと[exclamation]

それはテレビ&映画のキャラクターだった女性刑事内海薫(柴咲コウが好演)が本書に登場していたことです。これまでのガリレオシリーズを読んだ方にはお分かりいただけますが、過去3作には内海薫は出ておらず、彼女の狂言回し的役割は湯川の同級生でもある草薙刑事が担っていました。それが今作から満を持しての登場[exclamation]

当初の原作には出ておらず、映像化されたときに造られたキャラクターが後日原作にあらためて登場する・・・・これまでこんな例がなかったかというとそうではなく、ボクの知る限り、『弁護士のくず』という作品でそういうパターンがありました。これはビッグコミックオリジナルに連載されている漫画が原作で、テレビでは豊川悦史が主役を演じていました。その漫画にテレビ版に登場した裁判の傍聴マニア(演じるはモト冬樹)が、アタマや和服姿の容姿もそのまま漫画に出てきたのですが、見たときには「おぉ~っ、出てきたがな~♪」と、笑ってしまいました[わーい(嬉しい顔)]

原作、映像の両方を知っている読者にはおもしろい趣向で、ボクは好きですね[わーい(嬉しい顔)]

それと、台詞の中に『容疑者Χの献身』を彷彿とさせる台詞も出てきて、過去のシリーズを知る読者の心をくすぐってくれます。(この内容はさすがに書かないでおきましょう。)
過去の作品を知っている読者はここでニヤッとさせられるわけです(^^)
読みながら
「うんうん、わかるよ、その気持ち」
と心の中で頷いた人は、ボクも含めて一体何人いたことでしょう~[るんるん]
ちなみにこのときのやり取りから、内海刑事が配属されたのは『容疑者Χの献身』事件の後であることが推察されます。

最後に、これが短編集だということ。裏表紙のこの紹介文を読むと長編としか思えないのですが(「圧倒的スケール」なんて言葉、短編集で使うことはまずあり得ません)、実はこの話は「第五章 攪乱す(みだす)」に過ぎません。話はおもしろかったのですが、「圧倒的スケール」はちょっと言い過ぎですね^^; 
十分に長編になり得る素材だし、話をもっと膨らませれば湯川の苦悩や警察の
苦闘、社会の反応などをさらにスケールアップできたのに、惜しいな、もったいないな、とは思います。

総じて。

『ガリレオの苦悩』はおもしろかったです。十分におススメです。
犯人探しや動機の解明、トリック明かしなど、推理小説のパターンはもう出尽くした感がありますが、ガリレオシリーズは「お、まだその手があったか」と思わせてくれるものがあります。
また、主役の湯川をはじめ登場人物のキャラクターが立っています。それは脇役の隅々まで、たとえば草薙、内海の両刑事の上司である人物まで、「いるよな、こういう人」と思わせてくれます。

ガリレオシリーズをまだ未読で、これから読もうとお考えの方。是非シリーズの発表順に読まれることをお薦めします。
すなわち
1.『探偵ガリレオ』
2.『予知夢』
3.『容疑者Χの献身』
です。

ぜひどうぞ[わーい(嬉しい顔)]

★★★★☆ ☆4つ。ホントは4.5。

 


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