米作り(その14:続・水の管理) [米作り-2012年]
こんにちは。今日も朝から田んぼの様子を見に行ってきました。
昨日の大阪は戻り梅雨で雨がちのお天気。そして今日は、朝9時過ぎに強烈なにわか雨が南河内一帯を襲いました。
(この雨は西から東に流れて行ったようで、今頃は奈良県中部一帯が大雨に見舞われているところではないでしょうか)
さて今日の様子。先週と大きく変わったようには見えません。
そしていつもの定点観測用。
その根元はこのようになっています。
ここで注目してほしいのが、畔シートに残されている水の痕跡。最も多い時には、この位置まで水が入っていたのです。
それが今はこの有り様。
これはね、敢えてこうしているんです。
この時期、大体梅雨が明けると同時に気温は上がり、放っておくと田んぼの水は自然蒸発と土に浸み込むのとで減る一方。ここで水をすぐに入れるのではなく、そのまま放置します。水が多いと捨てるくらいに。
その理由は、田んぼを干すため。表面の土が乾いてひび割れするくらいに乾かします。
なぜか?
想像してみてください。稲といえども植物。育つには当然水が必要です。しかも大量に。
なのにその水がないとどうするか。
植物ですから根があります。根は水を求めて地中深く伸びていきます。これが米作りにはとても大事なのです。
地中深くしっかりと張った根は強靭な稲を作ります。高い建物を建てるときに地中深く杭を打つ-土台をしっかりさせるのは当然ですが、それと同じことが稲にもいえるわけ。
これが台風に対する最大の対策となるのです。強靭な根は強風に煽られても稲をしっかりと自立させ、滅多に倒伏することはありません。
このため、あと、そうですね、最低2週間は水を入れずに干します。
しかし、昨日の戻り梅雨と今朝のにわか雨で、ご覧のとおり水が溜まってしまいました。今週の晴天続きで結構乾いていたんですがね。しかし、何ぶん水はけのいい田んぼなのと、これから1週間は晴天ばかりの予報なのでかなり乾いてくれると思います。
水が引いた田んぼの端(今朝)
田んぼを干すのにはもうひとつ理由があります。
「雨降って地固まる」といいますが、夏場に一度しっかりと干された田んぼは表面が引き締まって固くなります。
これが秋になると効果を発揮します。
ウチにはコンバインがないので刈った稲は逆さにして横渡した木に掛けるのですが、その際田んぼ上を歩き回らなければなりません。このとき地面が引き締まって固いか、それとも泥っぽくて柔らかいか、どちらが歩きやすいかは自明の理でしょう。
一度干した田んぼは表面が硬くて歩きやすいので、そういった効果は実に大きいものがあるのです。
あと、何かの本で「干すことによって土中の微生物の活性化を促す」と読んだ記憶もあるのですが、ちょっとあやふや(^^;
とにかく来週1週間は雨が降らないでほしい、と思っています。あとは池の水がいつ出るか、ですね。来々週の土曜くらいならちょうどいいのですが、こればっかりは自分では決められず。
ま、連絡待ちです。
最後の画像は、黒いネットを被せたプチトマト。なぜこんなことを?
答えはカラス対策。あの雑食の猛鳥は、ちゃんと赤く熟したトマトを狙って喰いやがるのです 青いヤツは残してね。
まったくムカつくカラスども! しかしこいつら、漆黒の体毛を身に纏いながら黒いものが嫌いなのだそうで、これを被せておくと絶対に近寄らないそうです。
今日と明日は完全オフ。ひさびさにゆっくりしたいと思っています
ただただ田圃に水をはってたらいいてもんじゃなかったんですね。
小学校の頃は通学路のほとんどが田圃でしたが、
そんな変化はちっともわかりませんでした。
よく、田うなぎとかカブトエビとか捕って怒られた記憶しかありません。
天候との睨めっこ大変でしょうが、
米つくり報告、楽しみにしてます♪
by 湯次 (2012-07-21 22:00)
湯次さん
こんばんは。私も親から引き継いで教わりながらやっているのですが、知らないことが随分ありました。というか、知らないことだらけです。
米作りって、大雑把に見えて実は案外細かくて繊細なところが多いんです。そういった部分を少しでもお伝えできれば、と思っています。
by ヒロ (2012-07-21 23:14)
おお、すごいすごい。
一度水を干すことのメリットはガッテン!ですね。
根を強くするなんてナカナカ普通には思いつきません。
何でもぬるま湯に浸けて置いては強くならない。
微生物の件もおそらく空気の浸透度でしょう。
嫌気性の微生物ってそんなにいないと思いますし。
by ナワ~ルド@峠おやじ (2012-07-22 00:25)
田んぼは常に水をきらしてはいけないのだと思ってましたが、
まさか干していたとは。でも、言われてみると、多少、栄養(水)
不足の方が強くなりそうですもんね。勉強になりました。
by あるふぁ (2012-07-22 00:53)
カラス・・・黒が嫌い?
最近多いです!^^:
お米は・・・黄金色になるのが楽しみですね〜〜♪^^
by hatumi30331 (2012-07-22 15:41)
ナワさん
根を鍛えるのは、先人の知恵というものでしょうね。南河内は江戸時代は徳川直轄の天領。おそらく年貢等の心配はさほどでもなく、けっこう米作りに専念できて、他地域よりも農作技術の発展する余地があったのかもしれません。
あるふぁさん
ほとんどの人は田んぼを一度干しているなんてことはご存知ないと思います。
というか、そもそも他地域では干しているのかな?
もしかすると南河内限定、なんてことはない?
他の人とあまりそんな話はしないので、実はよく知らないのです。
今回紹介しているのはあくまでウチの作り方。作り方にも結構地域差はあると思いますね。
hatumi30331さん
カラスは農作物の天敵です。しかも頭がよく、美味しいところだけをきっちり喰いやがります。
カラスが黒いものを嫌うというのはヒトの経験則。これを活かして、これからもカラスから作物を守らなきゃ、です。
ちなみに稲が黄金色になるのは、穂に実が入り始めて田んぼの水を完全に切ってから。時期は10月に入ってからかな。
by ヒロ (2012-07-22 22:29)