2007年夏 つり橋の里キャンプ場にて (5)蘇生 [キャンプ]
終わりの見えない胸骨圧迫
吹き出す汗
切れる息
蓄積する疲労
そして刻々と過ぎ去る時間・・・・
くそう! たった数分でこんなにバテるのか? もう限界が来やがったのか・・・・?
さっき腹を括ったんは何やったんや? オラ 頑張れ
と・・・・
ゴボゴボという音。・・・・やった、水を吐いた!
「何か白いものが見える」と男性の顔を見た人。
「引っ張り出してください」と応えるボク。
それは白く変色したホルモンの肉片でした。まったく噛まれた跡がないのは、噛まずに飲み込んじゃったから? そして男性は、吐き出した水と数回の咳とともに息を吹き返しました。
「うっしゃぁ~~~!」とガッツポーズ!
周囲からは
「うおおおぉ~!」
「やったぁ~!」という歓声!
よかったぁ~
あとは回復体位(←クリックしてね)をとらせ、背面叩打法で残った水を吐かせ、救急車が着くまで様子を見ることにしました。まだまだかなり荒いですが呼吸も完全に復活、チアノーゼで紫色だった体にも赤みが戻り、剥いていた眼もいつの間にか閉じられています。でも、呼吸が速くてとても苦しそう・・・・そりゃあ、何分間も呼吸が止まっていたんだからそれも仕方ないだろうけど。
ただ、呼吸は戻ったものの意識を取り戻したわけではなく、まだ危険な状態であることは否めません。ここまでくると、もうボクにできることはほとんどありません。そこで、呼吸が少しでも楽になるようにと背中を擦(さす)ることに専念。蘇生した男性の姿を確認すると、見守ってくれていた周囲の人も、一人欠け二人欠けとだんだん少なくなっていきました。 そうこうしているうちにようやく救急車が到着。その少し前にはおっとり刀で警察官もやって来ました。警察官には状況を説明し、その後住所と名前、電話番号を聞かれました。きちんと答えましたが、あとは何の連絡もなかったなぁ(苦笑)。その頃、子供に案内されてその親(つまり男性の息子さん)も走って来られました。奈良県K町のSさんと名乗られました。男性はどうやら親族の数家族でキャンプに来られていたようで、救急車には男性の娘さん(つまり子供の叔母さん)が同乗されて行きました。握手を求められ、丁重なお礼の言葉をいただきました。
最後まで残って救急車を見送ったのはボクと、心肺蘇生を手伝ってくれていた二人だけでした。あとで聞いたらこの二人の職業はなんと警察官と消防士。消防士の人は火を消すのが専門だと仰っていましたが(笑)。ボクがただの会社員だと知って二人とも驚いていましたね。「プロだと思ってた」って。自慢じゃないですよ(~_~;)
現場を去る救急車を見送ったボクは、親切の証である残されたバスタオル類をキャンプ場のフロントに持参し、理由を説明して場内放送をしてもらい、引取りに来てもらうように依頼しました。そして、その警察官・消防士の両氏と固い握手をして解散となりました。
(つづく)
まだ続く…なのですか?
今回で、ようやく感動的な終わり方、そしてようやくちょっと安心して書き込みできる状態になったなぁ~と思っていましたが。
消防士さんとかと並ぶ技術、そして実践力、これは本当に素晴らしいです。しっかり尊敬の眼差しです。咄嗟の動きと、単なるそれだけでは片づけられない日々の精進の結果身に付いた技術と行動力が試された瞬間なのですね…私は、どちらもまったく持ち合わせておらず、恥ずかしい思いばかりです。
ヒロさんの行動に、心から拍手です。
by 遠霞(とおがすみ) (2010-08-31 21:54)
ごめんなさい、遠霞さん。
あと2回で終わる予定です。もう少しだけお付き合いください。その後の話を書くつもりです。自慢めいた話になっちゃいますけど、ご勘弁を<(_ _)>
それと、そんなに大したことではないです。それなりの技術を身に付けていて、実際に今溺れたばかりの心肺停止状態の人を目の前に置かれれば、可能性のある限り蘇生のための努力をするのは人として当然のことです。
ボクは、ボクと同じようなことが出来る人が一人でも増えればいいな、と心から思います。いつ自分が逆の立場になるか分かりませんし、救える命はひとつでも救いたいし救ってほしいと思いますから。
by ヒロ (2010-08-31 22:39)
ちょっと!ちょっとちょっと!
ここまで来て“つづく”って!
でもヒロさん凄い(^^)v
by 横G (2010-08-31 22:41)
(^^)vあと2回は後日譚?
by ジャンキー (2010-09-01 07:58)
最後まで読んでからコメ・・と思ったけど・・とりあえず良かった~~。
続きはまた後程拝見ね。
by カミ (2010-09-01 10:50)
良かったです^(ToT)/~~~
けっこう戻らない方もいるから、気になっていました。
とても小さい頃(たぶん幼稚園生)、海水浴で、そんな場面に出くわして、ショックを受けながら見ていた情景が今でもうっすら浮かびます。
相当、ショックだったんだと思います。
その方は、戻りませんでした。。。
のんもちょうど、職場で、救急救命の講習を受けに行こうと計画をたてている所でした。
そんな場面に出くわさないのが一番ですが、もしもに備えて、やはり消防署に申し込もうと思います。
あ~、助かってよかったです(^^)
by のん (2010-09-01 12:07)
ホントによく助かったな、と。
今でも思います。
よく戻ってきてくれはったです。
あと、上の文章は今思い返せば時系列が混乱していて、息子さんが来られたのはもっと手前、警察官が来た直後くらいだったような・・・・(^^:)
何せもう3年も経っていますから、記憶があやふやな部分はお許しください。
今から(6)を書きます。
by ヒロ (2010-09-01 20:48)