ラーメンコショウ考 [ラーメン]
皆さんはラーメンを食べるときにコショウを振りかけますか?
私? 私はラーメンの前にキムチを食べないのと同じで、まずコショウはかけません。
今回は、ラーメンにおけるコショウについて考えてみたいと思います。
ご興味のない方、どうもスミマセン(^^;
まずはコショウの歴史を簡単に。
コショウ=胡椒には防腐効果や抗菌効果があることが知られており、冷蔵技術のなかった中世時代には料理や長期保存のために必要欠くべからざるものでした。当時の大英帝国はコショウを得るためにインドへの航路を開拓したくらいで、金の重量分と等価交換されていた時代もあったくらい、貴重な品物でした。
日本には中国を経由して伝わっています。ちなみに「胡」とは中国の西~北方の異民族を表す漢字です。日本は「倭」でしたね。
一方日本では、鰹節や昆布等の魚介乾燥系で出汁を取る文化が独自に発達してきました。ごくごく一部を除き、四足動物を食べる習慣がなかったこともあります。したがって、ラーメンが中国から伝来してきた時代(約100年前)の日本人はまだ、鶏ガラや豚骨等の動物系のダシ(※)に慣れていませんでした。
さらに冷凍技術や流通がまだ整備されていなかったため、あまり新鮮でない鶏ガラや豚骨しか手に入らず、結果的に臭みの強いスープしか作ることができませんでした。
そこに登場したのがコショウです。肉料理の臭みを消す効果を持つコショウを振りかけることは、ラーメンをおいしく食べるための手段としては大変有効なものでした。
(あと、酢をかける方法もあったようですね。実際に、私が東京支店に勤務しているとき、なんとラーメンに酢をドボドボと入れて食べている御仁がおりました・・・・こちらに漂ってくるツンと鼻腔を刺激する酸っぱい臭い・・・・そいつとラーメンを共にする機会が二度となかったことは言うまでもありません。コラお前、それはラーメンに対する冒涜やで)
その後、技術の発達は食材の冷凍技術を進化させ、またインフラの整備とともに流通も充実の一途をたどり、新鮮で質の高い鶏ガラや豚骨の入手が容易になりました。
そして血抜きやアク抜きをきちんと行えば、臭みを感じさせない美味しいスープを作ることが可能になりました。
この時点で、あえて動物系の臭みをウリにしている豚骨ラーメンのような一部の例外を除けば、ラーメン店におけるコショウはその役割を果たし終えたと言えます。
実際、最近のラーメンに増えてきた魚介系の、あっさりした繊細緻密な味わいのラーメンにコショウをたんまりと振りかけると・・・・どうなるか想像がつきますよね(笑)
コショウをラーメンに振りかけて食べる。この食べ方は一般に定着し、習慣化されて今に至っています。
店側は当たり前のようにカウンターやテーブルにコショウを常置し、客側も当然のようにそれを振りかけてラーメンを啜る。
しかし、こんな画一的な食べ方はそろそろやめるべきだと、私は思っています。持つだけ持っておいて、欲しいという人にだけ渡せばいいのです。
もひとつちなみに、息子は私の薫陶よろしく、コショウには見向きもしませんよ(爆)
ただね、闇雲に否定するだけでなくコショウ(いや、この場合スパイスと呼んだ方が適切か)もたまにはgoodというケースがまれに存在します。
それは店側がスパイスを推奨しているケースです。一例をあげれば、今は閉店してしまいましたが、あべのQ'S MALLにあったつけ麺三代目みさわ。(千葉在住の遠霞さんもお気に入りのお店だったのに、なぜ・・・・?) このお店は、3番目に「黒七味」をかけて食べることを貼り紙で勧めている。こういう場合、そのおススメに従うのがいいケースが遥かに多いです。
以上、これまで私はラーメンにコショウや酢をかける食べ方をおおむね否定してきました。
しかし、まれに例外があるとも。
あるいは、古潭のラーメンのように擂りゴマをかけると味がマイルドになり、旨さが倍加する薬味もあります。
うどんやそばに目を転じれば、七味はラーメンに対するコショウ以上の定番ですね。刺身にワサビも同様。
ラーメンという食べ物は、美味けりゃいい、美味いもん勝ち、といった部分が他の食べ物以上に強いと私は思っています。
それに従えば、コショウを振りかける食べ方も、それが美味いとその人が感じたらそれでいいんです。そこまで私は否定しません。
ただ、もしそれが条件反射的にコショウを振りかけて食べているのであれば、一度立ち止まって、何もかけずにそのまま食べてみませんか。その方が美味しくいただけるんじゃないですか。
そういう問いかけをしてみたいと思って、この記事を書きました。
※・・・鰹節や出汁昆布等を使ってとる「出汁」は漢字で表すのが一番しっくりきますが、鶏ガラや豚骨等の動物系は「ダシ」とカタカナで書くのが似合っているような気がしますので、あえて使い分けました(^^)
最後に、ここ数か月の間に私が食べたラーメン店にあった薬味の画像を。
大阪松原・三宅吉祥さん
奈良・麺人 ばろむ庵さん
東京・青葉 飯田橋店さん
青葉さんのチャーシュー
横浜・大将 錦町店さん
大将さんにはこんなものも
東京ラーメンストリート・六厘舎TOKYOさん
東京ラーメンストリート・麺処 ほん田さん
福島・うえんで食堂さん
大阪西九条・麺屋 花壱さん
奈良・むつみ屋 げんき軒さん
奈良・塩元帥 田原本店さん
名古屋・好来分店さん
好来分店さんにはこんなものも
大阪松原・我堂 総本店さん(本編未公開)
奈良三条通り・らーめん三ちゃん
奈良橿原・炙り鯛だしらーめん サクラさん
大阪天満・麺元素さん
大阪藤井寺・喜だ屋さん
リンガーハットさん
大阪富田林・源製麺さん
大阪長居・あびんこ亭さん
神戸三宮・天孫降臨さん
最後はスキージャム勝山(^o^)
私はラーメンにコショウ入れたことって一度もありません。
ラーメンが供された時、既にコショウがかかってた店があります。そういう店はNGです。客の好みに任せるべきですよ。
横浜に住んでた時、ワタシはこれでも鶏の挽肉でつくね鍋を作ってたんですが、その中にはコショウを入れてました。
http://funayama-shika.blog.so-net.ne.jp/2011-04-19-1
何だかコショウの写真集を見てたら鼻がムズムズしてきましたぞ。
by 船山史家 (2013-01-10 23:09)
学生の頃、京都駅の東方にある食堂で食べたラーメンが忘れられません。
伝統的な支那ソバといった感じの醤油スープ。つるつるの喉越しの細麺。
あれに匹敵する麺は九州大牟田で食べたラーメン(豚骨スープ)くらいです。
もちろん、どちらも胡椒も何も入れてません。そのくらいスープも旨かったです。
平成になってから豚骨ラーメンと銘打ったお店が増えてきました。そんな名物店で生刻みやおろしニンニクを入れるのを覚えました。あれば入れる程度ですがね。
胡椒といえば落語「くしゃみ講釈」が思い出されます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8F%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%BF%E8%AC%9B%E9%87%88
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug100.htm
by ナワ~ルド@峠おやじ (2013-01-11 09:35)
らーめん屋さんで、テーブルやカウンターに置いてある調味料を入れることはほとんどありません。というか、とあるお店以外では、入れたことがないです。お店として完成形態を出すのだろうから、そのまま味わうのが本筋じゃないかなぁといつも思ってしまうので、なかなか手が伸びないのですよね。
みさわではもちろんこの指示通りに、すだちを絞り、そして黒七味を振りかけていただきましたよ。みさわ…どうしてつぶれてしまったのでしょうかねぇ…悲しいです。
その、調味料を入れるとあるお店ですが。最近よく行くこのお店では、あまりに何度も食べているので、胡椒をふってみたり、辛い何やらを入れてみたりと、味を変えつつ楽しんだりしてます。そこへの訪問回数はかなり多いので、少しくらいは変化させて良かろうと思い、いまではちょっと細工することが多いです。とくに中華そばではなくて、つけ麺=もりそばを頼むときにですけど。このお店は、私のブログで店名を伏して載せたところです。いずれ店名もちゃんと公開しましょうかねぇ、、、
by 遠霞(とおがすみ) (2013-01-11 13:09)
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
ラーメン屋さんの調味料を研究する、おもしいっ!
奥が深いですねー!
私もなにか酒場でこういう研究してみたーい。
お醤油の銘柄、ソースの種類… うーん、マネッコになっちゃいますね。
by なゆ (2013-01-11 16:13)
史家さん
鶏の挽肉でつくね鍋・・・美味そうだな~(笑)
それにはコショウは必要ですね。ウチはそれに生姜を刻んで入れています。
ナワさん
私にも忘れられない一杯があります。親戚のおじさんに連れられて行った屋台なのですが、もう四十年以上も前の話で、今ではそこでラーメン屋台があったことすら知られていないようです。今から思うと、あれが人生初のラーメンだったのかもしれません。
遠霞さん
やはり卓上の調味料を使いませんか。
ホント、ラーメン店の卓上調味料は昔からの習慣というだけの感じがして不要やろ、という考えからこの文章を書いたのですが、同じ思いの人がおられて嬉しいです。
「つけ麺=もりそば」というとあの店を連想するのですが・・・・そのお見え、知りたいな~♪
なゆさん
あけましておめでとうございます。
今回は、コショウについてかなり突っ込んで考えてみました。文書をひっくり返したりなんかもしましたよ(笑)
なゆさんがお酒がらみの研究をされるのは、そりゃあいいですよ、絶対。
ソースひとつとってみても、たとえば「中濃」という味は関西ではほとんど知られていないですからね。関西では「ウスター」が定番だったりするのですが、その辺りの理由をなゆさんの解説で是非読んでみたいものです。
by ヒロ (2013-01-11 20:48)
今年もよろしくお願いします☆
胡椒は大好きです。が、ラーメンにいきなりかけることはしないです。
まずはスープを味わい、麺をすすり、またスープを。そして、このスープが胡椒によってイイ方向に変化すると感じた時だけ、かけてみます。
ラーメンには圧倒的に白胡椒が合うと私は信じていますが、黒胡椒しか置いてない店も少なくないです。
うちの地元は昔ながらの支那蕎麦系も多いので(大阪の人にもわかる表現でしょうか^^?)この場合、白胡椒を入れるとスープが甘く感じられます。
もう一つ、大好きな広東麺を出す店があるのですが、これには途中で酢をまわしかけます。あっつあつの餡のスープで酢のきつさは飛んで、まろやか~になります♪
by ゆかりん (2013-01-13 08:02)
ゆかりんさん
それは私の考える正しいラーメンのいただき方です(笑)
もっとも、私の場合ほとんどコショウはかけませんが。
「支那そば系」、わかりますよ。ラーメンの専門店としてはもはや絶滅しつつありますが、それでも一定の需要はありますので、まあなくなることはないでしょう。私は・・・・そういえば支那そば系はほとんど行かへんかな~(^^;
by ヒロ (2013-01-13 22:50)
「支那そば系」絶滅の危機ですか!!(爆)
東北はまだまだ「支那そば系」の専門店もたくさんあります。
そして結局うちは「支那そば系」を追い求めている気がします^^;
昨日は前にちらっとご紹介した青森市の人気店「ひらこ屋」に再訪しました。三種の煮干を入れてあっさり仕上げたその名も「あっさり」は蕎麦の返しの様な甘さと煮干が合わさった絶品スープ。これには一味が合いました~♪
ここ数年、冬になるとこちらのラーメン屋さんは、鍋焼きうどん風ラーメンを出す店が多いんですが、そちらにもありますか~^^?
by ゆかりん (2013-01-14 07:00)
おはようございます(^_^)
お店によって色々な調味料が置いてあり、比べてみるのも
楽しいですね。こしょうは基本はかけませんが、食べてみて
から入れることもあります。家にはラーメン用のこしょうを
家族用に置いています♪ インスタントラーメンでは七味唐
辛子が合うものがあるのでかけていますが、連れがそれは
ありえないと言って、こしょうをかけています(笑)
by プースケ (2013-01-14 08:49)
こちらの食堂においてあるのは 大抵 支那蕎麦系(東京ラーメン?)の
ような気がします。
他のラーメンには 胡椒は入れないけど
支那蕎麦系のあっさりラーメンには スープ試してから
味が物足りなければ 胡椒は掛けます派 です。
一足お先の 志賀高原 最高でした♪
2日目知り合った指導員の方から 勧められて行った
横手山スキー場山頂から 富士山も見てきました(^o^)v
横手山 下は普通のペアリフト2本乗ってから3本目トリプル4本目高速ペアを乗り継ぐのですが
3本目のリフト乗り場の横に 小さな駐車場があったのを リフトの上から
目視しました
上のほう コース幅は狭目ですが問題なく 山頂の360度ビューは 病み付きになるくらい
最高でした!
摂りあえず お役に立つかと ご報告まで(*^o^*)
by おかーさん (2013-01-14 10:14)
ゆかりんさん
こちら大阪では「支那」より「中華そば」と呼ばれることの方が多いのですが、お店は本当に少なくなりました。イメージ的に、古い、と敬遠されているのかもしれません。
鍋焼きうどん風ラーメンは・・・・今パッと思い出す限りでは、西名阪・法隆寺IC近くに「石焼きちゃんぽん」の専門店がありましたよ。めちゃめちゃ熱くて、最後で定食についていたご飯を入れて雑炊にすると、なかなか美味しかったのを覚えています。
プースケさん
今回は約半年にわたって、行ったお店のテーブル調味料を撮りためました(笑) わかったことは、
・ほとんどのお店に置いておる
・白か黒かで言えば圧倒的に白
・ラーメン専用のコショウという商品もある
ってトコでしょうか。
長浜ラーメンのお店ではいかがですか?
おかーさん
最後のジャム勝はオマケです(^^)
コショウは、そうですね。味が足らない時の補助調味料ですね。そういう使い方はOK。許せないのは、味を確かめる前から「とりあえずコショウ」とパッパッとかけるタイプ。店の人に失礼でしょ、それは(ーー)
志賀高原、よかったですね! 横手山はたしかに景色が素晴らしいです。何より、天気に恵まれたことがよかったです。横手山頂では焼きたてのパンを召し上がりました?
by ヒロ (2013-01-14 16:46)
もちろん 山頂のパンも含めて 温泉で知り合ったインストラクターさんの
お勧めだったので 食べてきましたよ(*^o^*)
by おかーさん (2013-01-14 18:14)
こんばんは~<m(__)m>
今日は、久々のネットお出掛けです!
「胡椒考」、興味深く拝見しました(^^)v
のんも、時々調味料をパチリする事がありますが、
さすが、ラーメンツ―(あれ?表現違いましたっけ?)(^_-)-☆
見事に記録を残していらっしゃるのですね!
のんは、以前は、辛いラーメンのランクがあると、結構上の方まで食べたりする、辛いラーメンも平気派でしたが、病気後は、辛さにめっぽう弱くなりました。
そのため、胡椒も自然にかけない事が多くなりました。
その方が、無化調の繊細なダシ等をしっかり感じる事が出来て良いのかも?って思っていた所です(^^)
しかし、おかーさんと同じく、ダシが物足りない時には、入れると、美味しく食べられるかもってのんも思います!
胡椒にも色々とありますが、ここにも写っているGABANは、結構見かけますが、おいしいのでしょうかね?
by のん (2013-01-15 17:26)
おかーさん
さすが! パン好きのウチの妻も「美味しい♪」と絶賛したパンです。
シチュエーションがそうさせるのでしょうけど、確かに美味しかったですよね。あの季節に天辺まで登ったものの特権です(^^)
のんちゃん
それが正解です。ラーメンは美味しければ勝ち。物足りない時のみ使うのがテーブル調味料ってことでしょう。例えば繊細な味わいの塩ラーメンにコショウは似合わないですよ。味が変わってしまう。
GABANはたしかに多いですね。定番ではありますが、私は普段コショウはかけないので味は・・・(^^;・・・?
一度試してみますので、ちょっとお待ちくださいね。
by ヒロ (2013-01-15 20:30)