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米作り(番外編:米の作り方) [米作り-2012年]

もう穂が出て、これから実が太っていこうという時期になって「今さら」で大変恐縮なのですが、ここであらためて稲の作り方について簡単に説明させていただきます。
まず、今私が連載しているお米の作り方は、ウチ独自の作り方であるということです。先日レポートしたオドシの設置なんて、その際たるもの。あんなことをやっている農家は、今や少数派ではないでしょうか。仮にオドシをしていてもいろんな設置方法があり、本当に千差万別なのです。

さて、お米の作り方は、農家が持っている機械によってまったく変わってきます。
例えばモミ撒きにしても、我々は苗箱に合わせた治具の上を、モミや土を入れた器具を転がして撒きますが、大規模農家ではベルトコンベヤの上に苗箱を乗せて動かせば勝手にモミが撒かれているような、そんな機械で行ないます。
一番端的な例は脱穀でしょう。ウチはコンバインを持ってないので横に渡した木の上に稲を逆さにして掛けて(ダテ掛け)2週間ほど天日で乾燥させてから脱穀する方法を採っていますが、ちょっと大きな農家はコンバインでガーっとやって、後日灯油を使った乾燥機に通せば玄米(※)になって出てきます。簡単かつ楽なものです。
それでもウチがコンバインを買わないのは、米を作っている土地が広くないためにコンバインを買っても完全に経費倒れだから。
稲作用機械というのは年に一度しか使わないのにやたら高いですからね。ある程度の規模(=面積=収穫量)と継続性がないと、機械なんて買えたものではないのです。
反面、醤油や味噌などもそうですが、昔ながらの作り方で作った食べ物は、機械化された製造方法で作られたものより味が良かったりします。
コンバインで脱穀したお米は乾燥機で熱風をぶぁ~っとぶっかけて乾かしますが、鼻のよく利く人に言わせるとどうしても灯油臭さが残るそうですね。だから、筋のいい料亭などでは、お米の乾燥のさせ方や精米をするタイミング、さらには保管方法にまで気を配ると聞いたことがあります。
(その日に使うお米はその日に精米するのが最上。精米したその瞬間から酸化が始まりますので。また、玄米専用の冷蔵庫まであります)
ところがウチのような天日干しのお米には当然ながらそういう灯油臭さはない。稲を逆さにして(稲穂を下にして)吊るしているおかげでミネラル分が穂の隅々にまで行き渡り、結果的にお米が甘く感じられる、といったメリットも享受できます。
そのかわり作業時の体力的な消耗、はやい話が「しんどさ」は、機械化された作り方の比ではありませんけどね(苦笑)
私は、1年のうち最も疲れる日はいつだ?と聞かれたら、即答で「稲刈りの日」と断言できます。
ですから、私が半年をかけて連載している「米作り」は、我が家独自のものであるとご理解ください。そしてその作り方は、報道でよく流れる新潟や富山等の米どころの(大規模農家の)それではなく、決して世間様に流通することのない自分の家やその周辺だけで消費するお米の作り方のひとつである、ということも。

 

さらに、お米の品種によっても作り方は異なります。この場合は作り方というより、その時期ですね。
お米は、早稲(わせ)と晩稲(おくて)に大別されます。中稲(なかて)というのもあるらしいですが、よくわかりません。ウチが作っているのはヒノヒカリ(Wikipediaはここをクリックしてね)というお米で、その分類からすると晩稲のひとつ。作付面積No.1のコシヒカリもたしか晩稲じゃなかったかな? ちなみにヒノヒカリは宮崎が発祥で主に西日本で作られており、作付面積は日本3位、奈良県では生産推奨米に認定されている品種です。
甘みがあって冷めても美味しく、私は気に入っています。

玄米・・・・糠(ぬか)がついている状態。私たちが普通にいただいているお米は、糠を落として(=精米して)白米にしたものです。実はこの糠に含まれる胚芽にお米の栄養分が含まれており、ゆえに私はその胚芽を出来るだけ残した七分搗(つ)きにしています。コイン精米機では五分搗きもできるのですが、一度試してみて「これは無理っ! 食えん」と判断しました(^^;


 

さて、今日(9/9)の様子です。特にやることもないのですが、水の様子だけは確認してきました。
1.今朝の様子.jpg

定点観測用。
2.定点観測用.jpg

水は結構減っていました。そろそろ一雨欲しいところです。
3.水が減ってきた.jpg

ついでですが枝豆です。まだ実はできていませんでした。
4.枝豆生育中.jpg

さて最後は田んぼの生物シリーズ。
クモです。見るだけで「気持ち悪い」と生理的に嫌がる方もおられると思いますが(そういや、ロンは何よりもクモが大っ嫌いだったな~)、田んぼにいる分には害虫を喰ってくれる益虫なのです[かわいい]

5.田んぼの生物.jpg


 


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コメント 10

船山史家

”ヒロヒカリ”じゃなかったでしたっけ。。。(^^v
炎天下の農作業の後は魔法のグラスでビールを飲っちゃってください。
by 船山史家 (2012-09-09 15:05) 

ヒロ

史家さん
それを言っているのは史家さんだけです(爆)
田んぼの作業は、あとは水を入れるかくらいで、基本的にはやることはありません。次は、稲刈りの1週間か2週間前に田んぼの端の方を手で刈って、水抜きをするくらいですかね。今年は順調です、今のところ。

by ヒロ (2012-09-09 15:48) 

プースケ

こんばんは(^_^)
手作業での米作りは大変でしょうが、その分美味しいお米が
できると思います。実家はコンバインやトラクターなど大型の
機械を買い、農作業の機械を入れる倉庫を建てていました。
倉庫の中には乾燥機も設置したり、他にも何かと購入して
経費がかさむばかり(^^;) 子供の頃は倉庫がよい遊び場
でした。天日干しのお米は美味しいですね(*^_^*) 
by プースケ (2012-09-09 18:19) 

ヒロ

プースケさん
ご実家ではかなり大規模に米作りをされているようですね。たしかに凄く経費がかかっていそうです。
ウチは自分の家で食べる分だけですのでできるだけ経費は抑えたいのですが、それでも肥料や農薬、燃料、オドシの紐やテープ、水利組合に支払うお金等々、細々とした支出はバカになりません。そこに私の労働を経費に換算したら完全に赤字。
それでも米を作っているのは、やはり美味いごはんが食べたいのと、土地を放っておくと雑草でとんでもないことになってしまうからですね(笑)

by ヒロ (2012-09-09 19:05) 

sayurin

こっそりと田んぼの生き物シリーズ見てました。
私は、『タニシ』のピンクな卵がラズベリーみたいでカワイイんで好きなんです。
友人達からは『変なヤツ』と言われてますけど。。。
ヒロさんちの田んぼにはいないんですか??
by sayurin (2012-09-09 22:22) 

ヒロ

sayurinさん
そうだったんですか? 何か嬉しいな~(^^)
タニシ、もちろんいます。水路の壁に貼りついています。その数、数十匹、いや、数百匹はおるか。じゃあ次回に紹介しますね。
でも、普段は水面下に隠れていますので、なかなか撮影は難しいかも。
そういえば、かの北大路魯山人はタニシの食べ過ぎが原因で肝臓をやられて亡くなったんですよね。
ピンクの卵は・・・・残念ながら見たことないです(ーー)

by ヒロ (2012-09-10 20:07) 

リキマルコ

ん~お米作りは大変ですね!
感謝して食べないとd(⌒ー⌒)!
ヒロさんのお米食べてみたいですよ!!
by リキマルコ (2012-09-11 09:58) 

ヒロ

リキマルコさん
1月に入院してから食べる量を減らしているため、お米の消費量が落ちてしまって、現在余り気味です。今作っているお米を食べるのは来年になりそうです(^^;
ウチのお米、機会があれば是非いただいてほしいです、私も。

by ヒロ (2012-09-11 22:43) 

おかーさん

元農家の娘&元農機具店勤務の おかーさんです(笑)

やっぱり天日干しのお米は 甘いですよ♪
手間隙掛けただけのことはありますね

米どころの こちらの稲刈り風景は 大幅に様変わりしました
カントリーエレベーター(農村に建っているサイロが連なったような巨大な建物で米を乾燥・貯蔵する所)の
ゴンドラを直接トラックに乗せて 圃場へ横付け

コンバインから ダーッとホースで 直接入れて
ゴンドラが一杯(3反田一枚分?)になったら カントリーに走り
カコッとはめ込んで廻っているみたいですよ~!

農家の食べる分は いったん納めてから 農協から買うそうです。。。
by おかーさん (2012-09-16 11:19) 

ヒロ

おかーさん
福井の稲刈りの様子、ちょっと想像ができないです。そんなやり方ですか? さすが米どころ、ウチの作り方とは別の国、というか別の惑星のようですね~(笑)
農家が自分の家で食べる分が誰が作ったかわからん米とは・・・・なんか、ちょっと違う様な気がしないでもありませんね。
こちらでは、農協に出すのはコンバインで刈ったもの、自分ちで食べる分は天日干しと作り分けている農家もあります。

by ヒロ (2012-09-17 17:20) 

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